鉄の小話(2)

【鉄か鋼か、はたまた・・】

以前の小話(【鉄の国にっぽん】)の中で、

何れにせよ鉄というのは、自然に存在する金銀銅のように「自然な鉄」としては存在しません。
あくまで酸化鉄を高温状態において炭素で還元させることでしか私たちに役立つ鉄にはならない。

などと書かせていただきましたが、つまりそういうこと(?)なのです。
このFACTORY Edge&Edgeショップにおいても、鉄製品については「鉄」または「iron」と呼んでいます。
製鉄所で鉄鉱石から製錬された鉄は2~3%程度の炭素を含んでいます。(銑鉄=せんてつと言います)
しかしながら、この状態のままでは硬く、そしてもろ過ぎるため製品材料には適しません。
なので炭素量を減らしつつも、必要に応じ他の元素を加えていって、硬さと粘り強さを併せ持つという、
そんな特性がでるようさらに製錬し、そしてそれが鋼(はがね)となります。
ですので鋼性、またはsleelと表記とするのがより素材に忠実な呼び方とも言えるのかも知れませんが、
そもそもが鉄(Fe)から生まれた合金という意味で、また一般的には「鉄」と通称されることからも、
やや緩やかな範囲で「鉄」と呼んでも違和感はなくごく自然なことなのだと思います。

ところで。
私事で恐れ入りますが私(店主)の趣味はゴルフ。お世辞にも上手いとは言えません。。
そんな私が愛用しているアイアンという種類のクラブは「軟鉄」という素材でできてます。(Mild Steels)
この軟鉄は、クラブ制作にとても適しており代表的な素材と言えるかもしれません。
「鋳造」(cast)という製法で作られるアイアンにおいて主に使われる鋼の炭素の含有量は
2~4%ほどとやや高め(硬め)なのですが、対して軟鉄のそれは0.1~0.3%程度とかなり低くなっています。
これは即ち、その柔らかさ。打感(球がフェースに当たってから球が飛び出していくまでの間の感触)
などと直結します。そんな軟鉄は以前から「鍛造」(forged)という製法で作られるアイアン
(マッスル・バックなどがその代表的な種類と言えるでしょう)の素材としてよく使われます。
などと話は逸れてしまいましたが、実は鉄(鋼)は柔らかい。という印象とはややかけ離れた感触を
色んな種類のアイアンでボールを打ってみて、実際に感じてみるのも楽しいかも知れません。

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