鉄の小話(3)

【もっとも身近にある大きな鉄は・・】

鉄脚などのアイアンファニチャやインテリアを制作しているエッジアンドエッジですが、
私たちの身近には家具としてよりも何よりも、もっと大きな鉄が存在しています。
その代表例は鉄骨造りの建物。みなさんのご近所に(もしくはご自身がお住まいになってる)
鉄骨造りの建物があちこちに建ってるはずですね。
鉄骨というくらいですから当然に鉄=鋼材が使われているわけですが、残念ながら完成した建物から
ことさら「鉄」を意識することはありません。
(見えませんので・・。)

今回はそんな鋼材についての小話です。

鉄骨で造られた最初の建造物は何かと言うとイギリスのアイアンブリッジです。
その鉄橋がかかる渓谷一帯は世界文化遺産にも登録されています。
1779年、鋳鉄で作った部材から組立てられた世界最古の鉄橋。さすがは産業革命の国ですね。
日本においては、それから100年ほど後の1894年に建てられた秀英舎(後のDNP、大日本印刷)
の印刷工場が最初だったようです。
ちなみに秀英舎の名づけ親はあの勝海舟で、英国に秀でるよう。。という思いからだそうです。
なるほど、なるほどです。

そんな鉄骨(鋼材)の性質についてですが、長所としては
・強度が大きく粘り強い。(材料としての信頼性が高い)
・比重に対する強度が他の構造に比べ大きいので骨組みを軽くできる。
・骨組みが耐震性に優れ変形してもすぐに崩れたりしない。
・工事の現場環境などに応じた工法を選びやすい。
等が挙げられます。
その一方、
・高温になると強度が低下する(変形し易くなる)。-30度以下の低温ではもろくなる。
・火災等の高温では変形することがあるため耐火被覆が必要になる。
・水分と空気中の酸素により錆を生じるので防錆処理が必要になる。
という側面も併せ持ちます。
完全や万能という材料はいまのところ存在しませんから致し方ありませんね。
とは言え、鋼材を採用する鉄骨構造の建物や構造物がこれだけ数多く存在するということは、
鋼材には十分なメリットがあるということでしょう。

そんな鋼材ですが、いくつかの形(型)があって「形鋼(かたこう)」と呼ばれます。
形鋼はインゴット(鋳型に流し込まれ固まった一塊り)を圧延ロール機にかけて生成します。
ざっとその種類をあげると、
H型鋼、山型鋼(アングルと呼ばれます)、溝型鋼(チャンネル)、平鋼(フラットバーといいます)、
パイプ(あえて日本語表記すると鋼管?)、角パイプ(同様に角型鋼管)
などがあります。
また軽量の鉄骨としてはリップ薄型鋼や薄溝型鋼などもあります。
中でもアングルやフラットバー、パイプ、角パイプなどは、鉄脚をはじめとするアイアン家具には
必要不可欠。馴染み深い材料です。

ちなみに。画像はH型鋼を斜めに切断した残りの端材です。
次回はこの形をモチーフとした鉄家具の試作にも挑戦してみたいと思ってます。
H型鋼を斜めに切ったものです_2

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